2020年12月30日水曜日

Philips HQ482 バッテリ交換

年末年始の mission #1、古いシェーバ(ひげ剃り)の充電池交換に挑戦! 
これは相当古いもので、現在ほとんど充電できず、ACケーブルをコンセントに差し込んでようやく弱弱しく使える程度でした。見た目がキタナイのはご容赦を。
筐体は特殊な六角ネジ(T8)1個で閉じられているだけでした。専用ドライバでネジを取り外し、プラスチックの爪を折らないように注意しながら筐体を開けます。
なんと、★1997年製★でした。よくも23年も捨てずに置いてあったものだ。基板は見るからに古いけれど、電解コンデンサの液漏れもありません。
ちなみに、矢印の上に見えるDIP IC(PHILIPS製)は、マイコンとかそんな上等なものではなく、100~240Vの商用電源に対応するバッテリ制御用のICのようです。

充電池はNiMH電池で、電極はラグで基板に半田付けされています。あらかじめ同一規格(1.2V、2200mAh)の代替電池をinternetで入手(税込300円)してありました。

基板を裏返し、バッテリの電極ラグのランドから吸い取り機を使って半田を吸い取り、ラグを起こします。
無事取り外せました。入手した新しい電池が外観的にも全く同じサイズであることを確認したので、基板に装着します。(+極の茶色いのはただの保存用保護カバーです)
とても綺麗に換装できました!!
この後、筐体を閉じてシェーバの快調な動作を確認しました。充電できない電池のままACにつないで使うよりも全然力強い回転です。きっとこのシェーバは交直両用ではなく、充電専用だったのでしょう。

それにしても、このシェーバが自分と「23年間」もの人生を共にしたとは・・・、振り返ると感慨深いです。23年振りに元気を取り戻したこのシェーバのように、私もこれから頑張りたい!!

(免責事項)
シェーバの内蔵バッテリを自分で交換することは、ご自身の責任において行ってください。メーカも筆者も責任を持ちません。

2015年12月21日月曜日

QRQ (モールス・トレーナ by DJ1YFK) のご紹介

先般の CQ WW CW Contest の惨敗に打ちひしがれたワタクシは、その原因が自分の普段のCW練習不足にあることを強く認識し、初心に帰り Morse trainersで練習をやり直すことにしました。

Morse trainersといえば、実戦形式の Morse RunnerPileup Runner(いずれもVE3NEA作)が有名ですが、Morse Runnerは以前あった High Score table が(本日現在)何かの事情で無くなっています。順位表に自分のcallsignが載るのが楽しみなので、これは大変残念です。

一方、純然たるtrainer(早聞き練習)形式では、昔からある RufzXP(Vista/7/8/10でも問題なく動く)に加えて、JI0VWL作の CW Freak .NET が人気です。

RufzXPのToplistは、年齢・性別毎に部門が分けられていたり、顔写真が見られたり面白いのですが、反映が即時ではない(週1回更新とのこと)のと、やってみるとわかりますがscoreの送付がちょっと面倒です。Scoreはe-mailで送るのですが、Gmail使いの私の場合、「Use a Webmail service」を選んで、cut & pasteして送るしかないようです。(SMTP serverを指定する方法は、最近のSMTP serverは殆ど全てSSLかTLSなど使用していますが、RufzXPではuser/passwordを平文でしか送れないようで駄目でした。)まあこのscore送付が手動であることと、反映が即時でないことを除けば、RufzXPは特に問題はありません。

CW Freak .NETはscore送付がmenuから簡単に行える上、順位表もmenuからもweb上でもどちらでも見ることができます。特に面白いのは、順位表がAll Time/This Year/This Monthの3つに分かれていることでしょう。


QRQ by DJ1YFK

いろいろ検索していたら、別のtrainerを見つけました。作者のDJ1YFKはRufzXPのToplist上位にとんでもない高scoreを載せている強者です。

このsoftwareは見る限り2007年頃から開発されており、最新版は0.3.1(2013年1月)です。

上の画像はMac版ですが、このsoftwareは何とWindowsでもLinuxでも動作します。作者のsiteにはsourceもあるので、他のplatformでもきっと動かせるでしょう。

Installationは簡単ですから、詳しい説明不要と思います。

WindowsではいわゆるDOS窓で動きます。
日本語環境ではこんなふうに文字化けしてしまいます。枠線に1バイト文字(0x80~の高byte)が使われているからですね。動作には全く問題がないので、見た目を気にしなければこのままでいいと思います。
  • 気になる方は、「地域と言語」control panel(intl.cpl)を開いて、「管理」tabの「Unicode対応でないプログラムの・・・」を「English(United States)」等に切り替えて再起動すると、枠線の文字化けは無くなります。但しこの操作を行うと、他のsoftwareの動作に影響を与えることがあります。
このsoftwareは一言で言うと、「RufzのLinux移植版」として開発されたものと思われます。使ってみると分かりますが、競技rulesはRufzXPと殆ど同じです。でも何故か、score計算方法は違うようで、RufzXPの数倍のpointsになります。

使い方はそれほど難しくありません。
  • F5 ... 設定画面へ
    • 設定画面内の操作keyは、項目の右側に表示されています。
  • F2 ... 設定を保存
    • これを忘れないように。後述するqrqrcというfileに保存されます。
  • F10 ... 設定画面を抜ける。あるいはprogramの実行中止、終了。
また、実行中に使うF keyで大事なのがこれ。
  • F6 ... callsignの再送。
    • ただし1回だけです。得点は半減されます。
この「F6再送」はRufzXPにもある機能です。速度50wpm~の領域では必須かも。得点が半減されても、0点よりマシです。(CW Freakには再送機能はありません。)

ToplistへのScore送付方法

そんなわけで、このsoftwareをいたく気に入ったのですが、Toplist へのscore送付がどうすればいいのかが分かりませんでした。一応解決したので、作者の意図した方法かは分かりませんが、解説してみます。

作者のsiteには、設定(qrqrc)と得点順位表(toplist)はlocalの「.qrq」directory配下に保存されるとあります。しかしWindowsの場合は、このようなfolderは作成されません。隠しfolderでもありません。

調査したところ、Windows XP以前の場合は、Program Files配下の、QRQがinstallされるfolderの中にありました。

そして、作者はqrqscoreというPerl scriptでscoreを送付すると言っていますが、このscriptは見つかりません。そこで、Download siteのsource filesの中から持ってきます。


上記を参考に、「~.tar.gz」というsource filesをdownloadし、7-Zip等で解凍してください。その中に、「qrqscore」というPerl scriptが見つかるはずです。

ところが、普通のWindows usersの方は、Windowsの中にPerlなど入っていない筈です。これからWindowsにPerlを入れます。それが何を意味するか分からない方、不安な方は、ここで読むのを止めて、scoreをToplistに送付するのは諦めてください。(まあ、Javaを入れるようなものだと思えばよいのですが・・・。)

Windowsに入れるPerlとしては、いくつかありますが、Active Perlが良いと思います。無料です。指示通りにinstallしてください。何の設定も不要です。Install後、Perlが使えるようになります。

Windows XPの場合

比較的簡単です。Source filesの中から取り出した「qrqscore」fileを、Program Files配下の
QRQがinstallされたfolder(つまりqrqrc、toplistと同じ)に置きます。

そして、command promptを開き、そのfolderに移動し、
C:\Program Files\qrq> perl qrqscore -u
とtypeするだけです。成功すると、自分のhigh scoreとmergeされた新しいtoplistがsiteからdownloadされます。

Windows Vista/7/8/10の場合

QRQがinstallされる Program Files (x86)\qrq には確かにqrqrc、toplistがありますが、これらは全く更新されません。

実は、XPからVista以降に移行した際のからくりで、有名な事ですが、本来 Program Files (x86)\qrq 配下にあって更新されるべきqrqrc、toplistは、
C:\Users\{ユーザ名}\AppData\Local\VirtualStore\Program Files (x86)\qrq
という深いfolderの中にあります。ここにXPの場合と同様にqrqscoreのPerl script fileを置いて実行すれば良いわけです。

ただしいちいちcommand promptを開いてそんなところに移動するのは面倒ですから、下記のようなbatch scriptを書いてDesktopに置いておきましょう。File名は「QRQ_update.bat」とでもします。中身は、
cd C:\Users\{ユーザ名}\AppData\Local\VirtualStore\Program Files (x86)\qrq
perl qrqscore -u
exit
この3行だけです。このbatch fileをdouble clickすると、scoreが本家siteに送付され、即時で更新されます!

Debian Linuxの場合

APTのrepositoryの中にqrqがありますので、installationは簡単です。Terminal windowを開いて「qrq」で起動します。またqrqscoreもinstallされておりまして、
$ qrqscore -u
とtypeするだけでscoreがToplistにpostされます。

LinuxやMacの場合は、普通はPerlは元から入っているので心配ありませんね。
  • 「LWP::UserAgent が無い」と言われた場合は、libwww-perl packageをinstallしてください。

Mac OSの場合

Installationはdmg fileを解凍してApplication folderに入れるだけなので簡単ですが、私の経験では再起動するとpathが変になるのか、qrq.appをdouble clickしてもerrorが出てQRQが起動しなくなることがありました。そういう場合は、再度dmg fileから解凍したqrq.appを上書きすれば大丈夫です。ちょっとした問題ですが、次版で改良されるとよいなと思います。

Mac版binaryにもqrqscoreは含まれておりまして、下記にあります。ただしLinuxと違い、pathが通っていません。
/Applications/qrq.app/Contents/MacOS/qrqscore
qrqrcやtoplistはLinuxと同じくuser directoryの「.qrq」配下にあります。特に指定しなくてもqrqscoreを実行するだけでtoplistは更新されます。Pathが通っていないqrqscoreを実行するには、aliasかscriptを使って下記を実行するようにすれば楽です。
/Applications/qrq.app/Contents/MacOS/qrqscore -u

まとめ

Terminal console上で動作し、Windows/Mac/Linuxのいずれでも動くのは大変良いです!WindowsでもPerlが必要であるとか、Score posting方法に改善の余地はありますが、Toplistへの即時反映は嬉しく、CW Freak .NETと並んで、しばらく 病み付きになりそうです。

2015年11月30日月曜日

CQ WW CWのcondition(結果)

先週のpost「週末のCQ WW CWに備える」で、conditionを占いましたが、実際の結果をdataと共に提示しておきます。来年にもきっと役立つはず。予想と比較してみてください。

今年(2015)の結果

地磁気の状態はこんなでした。(図はクリックで拡大、以下同)
ほぼK≦3とはいえ、完全には静穏とは言えず、特に後半にかけてはやや不安定な様子があります。月曜の朝はK=4に上がっていたんですね。

当blogではもうお馴染みの解析、日本と欧州/北米間のRBN spotsをViewProp(ZL2HAM)で時系列に図示してみました。

1日目(2015/11/28) SFI 96, SSN 36

2日目(2015/11/29) SFI 95, SSN 47

先週も書いたように、この時期(11月末)、東京では、日の出 6:30JST(2130z)、日没 16:30JST(0730z)、南中 11:30JST(0230z)です。

太陽指数は予想通り?下がってしまいました。10mはしんどかったですね。

感想

  • 北米方面high bandsは(日本時間)土曜朝は10mはだめだめ、日曜朝は意外に良くて、月曜朝は今一つでした。
  • 欧州方面hihg bandsは、両日午後とも10mは殆ど開かず、15/20mがmain bands。特に日曜は夜遅くまで20mが開けていたことがわかります。
  • Low bandsとくに40mは両日とも北米/欧州とも長時間に亘って開けまずまずでしたので、antennasさえ良ければ楽しめたのではないかと思います。

2015年11月25日水曜日

週末のCQ WW CWに備える

昨年(2014)の状況は?

地磁気は下図の通り比較的静穏でした。(図はクリックで拡大、以下同)

日本と欧州/北米間のRBN spotsをViewProp(ZL2HAM)で時系列に図示してみました。

1日目(2014/11/29) SFI 177, SSN 156

2日目(2014/11/30) SFI 177, SSN 153

この時期(11月末)、東京では、日の出 6:30JST(2130z)、日没 16:30JST(0730z)、南中 11:30JST(0230z)です。

昨年はSFI 177もあったなんて、condition良かったんですね。どうりで10mが開けるはずです。

で、今年は確実にconditionが下がっています。
それでもCQ WW SSBの時(10月末、SFI 106、SSN 63~74)は少しは10mが使えました。この原稿を書いている現在(11/25)、SFI 112、SSN 66です。これ以下に下がりませんように!今のところflares/CMEsも発生しておらず、太陽活動も安定しているようです。

最近のcondition

2015/11/19(木)~11/25(水)までの最近一週間のRBN spotsを積算して、上と同様にplotしてみました。太陽指数は SFI 108~122、SSN 51~77 でした。
一週間を積算しても、CQ WW contestsと比べればspots数がかなり少なく、ギザギザになりますね。大体の傾向と見ていただければと思います。

週末の戦略

Time tableで考えてみました。自分用です。

 UTC  JST  戦略  備考
 0z~   9~   15mで北米run開始、呼ばれる限り続ける。(早ければ30分で枯れる?)
 呼ばれなくなってきたら20mに下りる。
 20mは早ければ2z、遅ければ4:30z頃枯れる。
 10mが使える可能性は少ない
 2z~   11~   一番暇な時間帯。  飯食う、寝る、ひなたぼっこ、等。
 4z~   13~   10/15mほぼ同時にUA9/0聞こえ始めるので、行ったり来たりしてslow pacedにさばく。
 6z~   15~   欧州が10/15mで本格的に開け始める。
 7z~   16~   16:30JSTの日没前後が10mのpeak。15mのpeakは30分ほど遅れるがほぼ同時。
 8z~   17~   17:30JSTにはほとんど10mは閉じるので、15mに下りる。
 もう40mで北米も開いている。
 9z~   18~   18JST頃には15mにも見切りをつけて20mに下りたほうがよいだろう。
 11z~   20~   この頃には欧州20mも閉じる。
 北米がgray lineに差し掛かるので40/80mを~0JST頃まで徹底的に。
 北米gray lineは4hrsくらい掛けて遷移する。
 15z~   0~   北米のgray line終了。欧州40mが聞こえ始めるかもしれないが、聞こえていないかも。二番目に暇な時間帯。  ちょっと休憩。 
 16z~   1~   欧州向け40mをダラダラと3JST頃まで。  低rateの忍耐の時間帯。
 18z~   3~   早ければ欧州80mが聞こえるかも??
 聞こえなければ40m続ける。
 20z~   5~   JAのgray lineなので、欧州80mに賭ける!  5:30JST頃から北米20mも開き始める。
 21z~   6~   80mは6:30JST頃まで、40mは7JST頃まで可能性があるが、ダメなら諦めてhigh bandsへ。この時間帯は各bandsのcheckが忙しい。  北米20mもmultiとしては貴重なので、15mが開くまでは少し粘ってみる?
 22z~   7~   北米15mのrun開始。10mが使えれば早めに上がる。10mが息切れるまではrunし続ける。  22~1zの北米runは最高のrateを叩き出す時間帯。
 23z~   8~   10mにどこかで見切りをつけて15mに下りる。  10/15mのpeakはほぼ同時。

なお、contest用にHF帯伝播状況の実況中継を行っています。
スマホ・タブレットから見るには、http://prop.jg1vgx.net/ をbookmarkしておくと便利です。指でpinchして見やすい大きさにして御覧ください。

2015年1月10日土曜日

SparkFun Geiger CounterのArduino化

先日設計上の不具合を何とか改修する事が出来たSparkFunのGeiger Counter SEN-09848だが、software(firmware)も製品購入時には非常に単純な物しか入っておらず、時間線量の算出・表示すら出来ない。

折角直したので、これを機会にいろいろprogramを書いて遊んでみたいので、ひとまずArduino化することにした。

ICSP pinheadersの取り付け

本品にはご覧のようにprocessorとしてATmega328P(flat package)、USB-TTL変換としてFT232RLが使われている。買った状態ではICSP端子にpin headersはついていないので、まず下図のように取り付けた。1番pinには細い線でmarkingされている。
ATmega328Pには外部発振子が付いていないので、内部RC発振を利用しているようだ。

さて、ICSP端子からbootloaderやfirmwareを書き込むには、ISP用のprogrammerが必要である。専用で安価なAVRISP mkII3,200円@秋月電子)をお勧めしたいが、持っていなければ別のArduinoにISP用のsketch(Arduino IDEに付属)を入れてprogrammerにする方法や、FT232Rから必要な端子が出ていればFT232R Bit Bangingという方法でprogrammingする事も出来る。詳しいやり方は他所で解説されているので、「Arduino ブートローダ 書き込み」等で検索してみてください。

本品はFT232RLを使用してはいるものの、Bit Bangingに必要なCTS、DSR、DCD、RIが結線されていないので、本品のFT232RLを使ってのBit Bangingは出来ないと考えた方が良いだろう。やるならCTS、DSR、DCD、RI端子が出ている別のFT232R搭載Arduino等を持ってきて、本品のICSP端子に接続して使う形になる。

なおICSP端子にはVCC/GND線も有りますが、AVRISP mkIIはここからtargetに電源を供給しません。逆にtargetが通電しているかどうかの検出に使っているようです。従って、targetには別途(本品の場合USB端子から)電源を供給して下さい。

Fuseの設定

早速programmerを繋いで、SEN-09848の購入時のfuseの状態を調べてみたところ、次のようだった。

 Extended   0xF8 (0x00) 
 High    0xDF 
 Low   0xE2 
なお拡張byteの3~7 bit目は使用されていないので、そこが1と見れば0xF8、0ならば0x00という事である。書き込みsoftwareにより、未使用bitsの表現が異なっている事がある。
AVR processorのfusesは「ONが0、OFFが1」と、通常とは逆になっているので、設定変更時十分注意しよう。間違ったfuse設定を書き込んでしまうと、AVR processorが2度と使用できなくなる恐れがある。

こちらの便利なsiteで上記bitsを解釈すると、fuseの状態は次の様になっていることが判る。
  • 内蔵 RC回路 8MHz 発振、起動遅延時間 65msec
  • Boot用flash領域 256words、Boot Reset Vector OFF
  • 電圧降下検出 VCC=4.3V (*)
(*) なおここの拡張byteにある電圧降下検出(BODLEVEL)のbitsは間違っていて、本来有り得ない組み合わせになっている。
さて、bootloaderを使用するため、fusesを書き換えてみよう。筆者はAtmel Studio 6.2(旧AVR Studio)とAVRISP mkIIの組み合わせで行った。
Optibootを使用する予定なので、BOOTSZ = 256W(512bytes)のままとし、clockの設定(SUT_CKSEL)も変更しない。変更するのは、下記2箇所のみとした。
  • BOOTRSTをON(0)に(bootloaderを使用するのだから当然)
  • BODLEVELを2.7Vに(変更しなくても良いが、正しい値にしておく。他の値でも良い)
他のbootloaderを使用する場合は、sizeに合わせてBOOTSZを調節して下さい。そのbootloaderを使用しているboards.txtの項目を参照し、fuseの設定やupload.maximum_sizeの値からbootloaderのsizeが推測できます。(32768や16384といった値からupload.maximum_sizeを引いてみます。)

先程も述べたように、絶対に間違ったfuse設定を書き込まない事。特に、外部発振の設定にしてしまうと、Ceralockや水晶発振子を(flat packageに!)外付しないと動作しなくなり、programmerによるaccessも出来なくなります。またRSTDISBL、SPIENも絶対に変更してはいけません

間違いが無い事をしっかり確認できたら、上記fusesの値を書き込み(Programし)ます。

Bootloaderの書き込み

Fusesの次はいよいよbootloader本体の書き込みです。まず、Optibootの開発siteから最新版v5.0aをdownloadしてきます。Desktopに解凍し、その中の「optiboot_atmega328.hex」というのをFlashに書き込み(Programし)ます。
以上で書き込み作業は終了です。ProgrammerからSparkFun Geiger Counterを取り外します。

Arduino IDEの設定

Arduino IDEの個人用Sketchbook location(Preferencesを見ると判ります。通常はDocuments folderのArduino配下)に「hardware」というsub folderが無ければ作って、その下にこのzip fileを解凍して出来た「SparkFun Geiger Counter」というfolderをそのまま置きます。

中に入っているのはboards.txtだけで、その中身はこれです。
##############################################################
# Sparkfun Geiger Counter w/optiboot
#  ATmega328P, Int RC Osc 8MHz
##############################################################
sfgeigero.name=[Optiboot] Sparkfun Geiger Counter (8MHz Internal)
sfgeigero.upload.protocol=arduino
sfgeigero.upload.maximum_size=32256
sfgeigero.upload.speed=57600
sfgeigero.bootloader.low_fuses=0xE2
sfgeigero.bootloader.high_fuses=0xDE
sfgeigero.bootloader.extended_fuses=0x05
sfgeigero.bootloader.path=optiboot
sfgeigero.bootloader.file=optiboot_atmega328.hex
sfgeigero.bootloader.unlock_bits=0x3F
sfgeigero.bootloader.lock_bits=0x0F
sfgeigero.build.mcu=atmega328p
sfgeigero.build.f_cpu=8000000L
sfgeigero.build.core=arduino:arduino
sfgeigero.build.variant=arduino:standard
##############################################################
この後、Arduino IDEを起動すると、Tools -> Board menuに追加した項目が現れます。

13番pin LEDの追加

さて早速Blink sketchをuploadしてみたいところなのですが、SparkFun Geiger CounterはPB5、つまりArduino 13番pinにLEDが結線されていません。ですが幸い、このpin(PB5)はSPI clock用としてICSP端子に出ていますので、それを利用します。
つまり上図のようになっていますので、SCK pinとGND pinとの間にLED(と抵抗)を入れればOKです。
このようにすればBlink sketchの動作確認が出来る他、13番pin LEDはRESET buttonを押下した時にもbootloaderの動作で点滅するようになっているので、bootloaderが正しく書き込まれているかの確認にも使用出来ます。

Sketchのupload

さていよいよsketchのuploadです。しかしここにちょっと問題があって、筆者の所有しているSparkfun Geiger CounterのSEN-09848というversionにはauto-reset回路が無いのです。後継のSEN-10742SEN-11345(現行)にはauto-reset回路が付いています。

Auto-reset回路というのは、FT232RLのDTR端子から0.1uFを介してATmega328PのRESET端子に結線されているだけなのですが、これを追加するのは両ICsともflat packageのため面倒かつかなり見た目が悪くなります。

そこで筆者は手動resetで我慢することにしました。

ところがこのreset button押下のtimingがかなり微妙で、慣れが必要です。

Arduino bootloaderはresetされると、ごく短時間serial通信を待機します。このtimingに丁度うまくArduino IDEから通信の試行が行われるようにしなければなりません。

まず、通信のやりとりを見えるようにするため、Arduino IDEの「環境設定(Preferences)」で書き込み時の詳細表示を選択します。
コンパイル(compilation)の方は詳細表示にしなくても良いでしょう。

Sketchをuploadしようとすると、「Uploading...」の終盤になって次のような橙色文字の表示が現れます。ここがresetのtimingです。
うまくやるためには「Uploading...」の途中からreset buttonを押したままにして、上の橙色文字が見えたらすかさず指を離して下さい。上図のようにmessage領域を大きく広げておくと見易いです。

成功するとdataのやりとりが行われ、uploadが無事完了します。
これがuploadが成功した時の表示です。またuploadしたsketchに従ってLEDがblinkしていると思います。

Blink sketchのloop内のdelay()値をその都度変更すれば、新しいsketchが動作しているかどうかが判ると思います。またsketch内の「13」pin指定を「A5」に変更する事により、先ほどわざわざ外付したLEDではなく、本体上の「Counter」のLEDをblinkさせる事が出来ます。外付けLEDでの動作が確認できたら、blink sketchをそのように変更し、外付けLEDは外してしまいましょう。

Arduino IDEのserial通信とreset button押下のtimingが合わないとuploadに失敗し、以下の様な表示となります。
stk500_getsync(): not in sync: resp=0x00」というのが通信の同期に失敗した事を示しています。失敗していても、「Thank you.」「Done uploading.」等成功した時と同じような表示も出る事には注意して下さい。

筆者はbaud rateを他に色々変えて試しましたが、何故か57600bps以外では成功していません。また他のOptibootの.hex filesも用いてみましたが、成功したのはこの「optiboot_atmega328.hex」だけでした。

実際のresetのtimingはかなり微妙(体感では200~300msec位の範囲)ですが、慣れればわりと確実にupload出来るようになります。練習して下さい。

現行のArduinoは殆どauto-resetになっているので、通信待機時間を長く取る必要が無くなり、現行のbootloaderではそれが極端に短くなっているようです。本機のような手動reset用には、きっとbootloaderを再compileして待機時間を長く取るようにすれば良いのかもしれませんが、筆者にはまだその方法が判らないところです。

また先も述べたように後継機種であるSEN-10742SEN-11345をお持ちの方は、auto-resetに対応していますので、reset buttonのtimingで苦労することは無い筈です。

他のbootloaderを用いる

Optiboot以外でも実はやってみました。本家TutorialのこちらからBreadboard.zipをdownload、展開し、前述の個人用Sketchbook locationのhardware folder配下に置きます。

Programmerを用いて、fusesとbootloaderをそれぞれ書き込みます。
  • Fuse設定は、Low 0xE2、High 0xDA、Extended 0x05(0xFD)
    • bootloaderのsizeは1024W(2048 bytes)
  • bootloaderはArduino IDEに付属の「ATmegaBOOT_168_atmega328_pro_8MHz.hex
IDEのTools -> Board menuには「ATmega328 on a breadboard (8 MHz internal clock)」という名称で現れます。

試してみたところ、こちらのbootloaderの方がOptibootよりもややtimingに余裕がある感じでした。Optibootでどうしてもtimingが掴めない方にはお勧めかもしれません。なお通信速度はやはり57600bps以外では動作しませんでした。

Arduino化完了!

何とかSparkFun Geiger CounterをArduino IDEで簡単に扱えるように出来ました。

製品版のfirmwareのsourcesはGitHubにあります。取り敢えず、製品に入っていた検知間隔に応じて0と1を出力するだけの非常に単純なfirmware(v12)を、Arduinoのsketchに書き直してみました。
/*
  SparkFun Geiger Counter
  Official v12 firmware on Arduino
  
 created 10 Jan 2015
 by Rin FUKUDA 
 jg1vgx@jarl.com
 */

// Constants
#define LEDPIN A5  // Counter LED (green)

// Variables
volatile long j=0;      // Interval since the last count
volatile long jlast;    // previous interval
byte cbit;     // '0' or '1' for char output on terminal

void setup() { 
  // pin I/O settings
  pinMode(LEDPIN, OUTPUT);
  
  // Interrupts on INT0 (OUT)
  attachInterrupt(0, onCount, RISING);

  //Initialize serial and wait for port to open:
  Serial.begin(9600); 

  // Wait to settle
  delay(1200);
  interrupts();


void loop() { 
  // turn off the LED (HIGH is the voltage level)
  digitalWrite(LEDPIN, HIGH);
  // wait for a short while for counting
  delay(30);
  j++;


void onCount() {
  // blink LED
  digitalWrite(LEDPIN, LOW);
  delay(10);

  // check intervals  
  if(jlast < j) cbit = 0;
  if(jlast > j) cbit = 1;
  
  // send byte char to console
  Serial.print(cbit);
  
  // reset intervals
  jlast = j;
  j = 0;
}
たったこれだけです。こちらにも置きました。Sketchをuploadしたところ、ちゃんとArduino化以前と全く同じ動作で検出~countする事を確認しました。Arduino IDEにはSerial Monitor機能が付いているので、別のsoftwareを起動せずに動作確認が出来、大変便利です。
さらに、dotによる簡易bar graphで時間線量(CPM, counts per minute)をserial出力するsketchを書いてみたのでここに置きます。

2015年1月3日土曜日

SparkFun Geiger Counterの改修

震災の年にback-orderで注文し数ヶ月待って入手してあったSparkFunのSEN-09848というGeiger Counterだが、いざ届いて使おうとする前に、同製品のComments欄で「回路設計に重大な問題があり、そのままで使うと貴重なGeiger管に定格(450~650V)を超える過大な電圧(1,000~1,500V)がかかっている」という事が指摘され、物議を醸していた。

そこではいろいろ回路修正方法が議論されていたが、ともかく修正しない事には使えない代物だという事が判り、少しガッカリするとともに、いつか修正しようとして箱にしまったまま、忙しさに紛れて早3年以上過ぎてしまった。

しかし気になって仕方がなかったので、この正月休みに遂にその修復を試みてみる事にした。

SparkFun Geiger Counterの世代

  
SparkFunのGeiger Counterは原発事故後に当然ながら注目を浴びたが、これから述べる不具合をusersから指摘されたためその後改版を繰り返している。当方が入手したのは震災当時販売されていたSEN-09848という一番左の物である。

SEN-10742では、見て判る通り真ん中左の高圧印加用のswitchがより耐圧のある適正な物に変更されたが、過大電圧の問題や、後に述べる検出回路の誤りはここでも修正されていない。

現行品のSEN-11345になり、高圧回路には本来あるべき定電圧回路が挿入され(右端に新しく増えた黒い部品がZener diodes)、また検出回路がanode検出からcathode検出に変更され正しいpulsesを拾うようになった。SEN-11345の回路には問題は無いので、これから買われる方は安心して注文されて良いと思う。

一方、SEN-10742迄の製品をお持ちの方は、これから述べる回路修正が必要である。さもないとGeiger管を過大電圧により壊してしまう事になるかもしれない。なおSEN-09848の前にさらに古いversion(SEN-09298)もあるが、当然ながら不具合品である。

問題点

これは主に2つある。
  • (1)Geiger管に定格(450~650V)を超える高圧(1,000~1,500V)がかかっている。
    • 高圧系の定電圧回路が省略されていることと、恐らく作者が設計時にtesterの誤用により適正な電圧であると誤解した事が原因と推測されている。
  • (2)検出回路の極性に誤りがあり、適正にpulseを検出できない。
    • anode検出を採用しているにもかかわらず、NPN transistorでinterfaceを組んでいる。
他にもswitchの耐圧の問題とかあるのだが、省略する。

SparkFunの製品siteのComments欄では主に(1)の問題しか議論されていないが、日本の「がた老AVR研究所」のblogで、(2)の問題とその対策が詳細に解説されていた。

当方は、この「がた老」さんの方法を参考に修正しようと考えていたが、基板のresistを削ったり、遠方から配線を引き回したりという手順がやや複雑に見え、そのまま放置してしまっていた訳である。


修正作業


修正前の状態

それでは修正作業について解説していきたいが、その前に修正前の状況をoscilloscope(DSO Nano v2)で確認しておく。SEN-09848の修正前の検出回路周りは次の様になっている。
OUTがATmega MPUに入る、transistorで整形された(はずの)trigger出力である。

まず、Geiger管のanode出力であるSIGTP1で見てみる。
これが正規のpulseなのだろうが、高圧過ぎるためか雪崩効果(avalanche effect)が起き、次のような連続pulsesも頻繁に観測される。
実際にはSEN-09848のoriginalの状態では、上の正規pulseの方をcountしているのではなく、下の雪崩効果の連続pulsesをQ4の出力(collector)側の大容量capacitor C9で平滑してOUTに出力しているらしい。TP2OUT)での観察結果を見てみよう。
このように雪崩効果の持続時間にもよるのだろうが、50~100msecの矩形pulseとなってQ4から出力され、これがATmega MPUに入力されていた。

しかしこれでは、本来のGeiger管のpulsesを計測しているのではなく、「雪崩効果」の数を計測している事になってしまう。そもそも0.1秒なんて長さのpulseは線量計測としてはどう考えてもおかしい。

途中経過

「がた老AVR研究所」の方法が正しいことは最初から判っていたが、blogに記載されているresistを削ったりする方法が面倒に思えてしまい、他の2、3の部品の交換だけで何とかならないか、最初試行錯誤していた。

問題(1)の高圧を適正化する方法は、C2 10uFを 0.5~1uFにすることで良いのだという。まずそれを行い、また検出回路のQ4のcollector側の平滑用のC9を0.33uFに下げてみた。しかしそれではpulseを殆ど全くcountしなくなってしまった。Oscilloscopeで見てみると、まずQ4のbase(TP1)ではこのような物が見られた。
Geiger管のpulseは真ん中の大きなnegative pulseであるが、それ以外に小さな周期性pulse(1.6msec周期くらい)を見るようになった。(なぜこういうのが出るようになったのかは今でもよく分からない。)Geiger管のpulseもovershootがあり、何だか不思議な形だ。

Q4の出力側(TP2)で見ると、それなりにpulseらしい波形であったが、何故かこのpulseではMPUが殆ど全くcountしてくれないのだった。Firmwareのsourceを見てみると、ちゃんとfalling edgeで入力pinをtriggerするようにprogramされているのだが。

最終修正

高圧の修正と平滑capacitorの値の修正だけでは結局駄目だと分かったので、意を決して検出回路の修正もすることにした。

やった事は、「がた老AVR研究所」のblogを参考に、こちらのsiteの「アノード検出方式のインターフェース回路」ほぼそのままに改めたのである。より具体的には、上に引用したSparkFunの回路図上で説明すると、下記のように修正を行った。
  • Q4 MPSA18(NPN)→ 2SA1015(PNP)に変更
  • R9 1k → 56k に変更
  • Q4 Emitter を VCC に配線
  • SIG と VCC 間に、R 2MとC 100pFを並列に挿入
  • R10 1k8 は削除
  • C9 47uF は R 100k に置換
お手本にした回路と少し抵抗値が違うのは、手持ち部品の都合である。

Resistを削るのはやや面倒だから、横着をしてtransistorの脚を1本空中配線して誤魔化した。
この修正により、見事にGeiger Counterとして正規のpulseをcountするようになった。もし「がた老AVR研究所」の記事がなかったら、筆者の知識だけでは到底修正し得なかった事である。「がた老」さんにはこの場を借りて心より御礼申し上げる次第である。

その正常動作を再びoscilloscopeで見てみよう。まずTP1だが、transistorをPNPに変えたためVCC基準で測定した。 
先ほどの途中経過での不思議なpulseと違い、美しい正規pulseが入るようになった。周期性の小さなpulse(原因不明)は見られているが、これらはMPUでのcountに全く影響を与えないので気にしないことにする。C2 capacitorを都合で1uFにしてしまったためまだ電圧がやや高いのか2枚めの写真のような連続pulseを時に見ることがあるが、それほど計測に影響はないようである。C2は0.47~0.68uFが良いと思う。

検出transistorを通過したTP2での出力は次のように綺麗な100usec前後の矩形波pulseとなり、ATmega MPUできちんとcountされるようになった。
但しfirmwareではまだfalling edgeで検出するようにprogramされているようなので、rising edgeに修正するのが良いかも知れない。どちらでも同じようにはcountするけれど。

なおSparkFunがSEN-11345で行った検出回路の修正は、Q4はNPN transistorのまま、検出方式をanode検出からcathode検出に変更している。このためOUTでの出力はactive low(negative pulse)であり、falling edgeでのtrigger検出のままでprogram上も問題ない。同じ方式で修正するにはGeiger管周りの回路変更が必要で大がかりになりすぎるため、筆者は「がた老」さんと同じくPNP transistorによる検出方式とした。

あとがき

因みにこのGeiger Counterを設計したAaronという人は、もう転職してしまってSparkFunに居ないそうである。彼(a1ronzo)は最初問題に気付いていなかったようで、製品のComments欄で「電圧も高くないし、製品はずっと正常に動作している」としきりに不具合を否定していた。

このGeiger Counterは元々放射線量計測を目的としたというよりは、乱数発生器として企画された面がある。だから元から入っているfirmwareには時間線量を出力する機能は無く、ただpulseのcountに応じて0か1かを出力するだけの単純なprogram(countの間隔が前の間隔より長い時0、短い時1)となっている。

彼がこのGeiger Counterを設計・販売後に日本の原発事故が起こり、本製品が世界中から注目を集めることになり、結果的に設計ミスが白日の下に晒されることになったのは、彼にとっては不遇だったと言えよう。

日本のmakerだったら、非を認めて製品を無償交換するくらいの設計ミスだと思うが、海外には日本のような「謝罪文化」は無いので、問題点が指摘されても交換は行われないし、買った人もそれを強く要求するわけでもない。

日本人の感覚だとAaronの立場に立たされれば、責任を取って退職したのではないかと思う。

Aaronは途中から設計ミスを認める発言をするようになっていたし、結果的にSparkFunは設計ミスとみられる部分を完全に修正して現行品をreleaseしている。最後の改修品がAaronの手によるものかどうかは筆者には判らない。

筆者は、Aaronは日本人ではないから引責退職したわけではなかろうけど、自身の設計ミスがこれだけ大きく取り沙汰されてしまった事の責任を痛感してはいたと思う。だから彼は転職という形でそれを清算した(早く言えば「逃げた」?)のではないか、というのは上記の改修作業をしながらの筆者の空想である。

2014年9月15日月曜日

WAE SSB @JG1ZUY

この記録的な悪conditionの事は、後々の為に是非とも記録に残しておこうと思う。
GOES-15衛星で観測された、9月10日に発生した巨大flare。
Plasmaが噴水のように放出されているのが見える。

CME(コロナ質量放出)と磁気嵐

下図(clickで拡大)のGOES-15衛星によるX線観測dataに見るように 、9月9日 0z頃にM級、翌10日 18z頃X級flare(CME)が連続して発生していたのだが、今回筆者はこの事を知らずに9月13日(土)に現地入りしてしまっていた。
flareも「横向き」、つまり地球から見て「明後日の方向」に放出された物ならさほど大きな影響が無いが、今回のは最初の写真に見るように、もろに地球側を向いていた。

かくしてplasma流は下図(clickで拡大)に見るようにほぼ48時間かけて地球に到達し、「約束通り」に磁気嵐を引き起こしていた。9月9日 0zのM級flareに対応した地磁気変動は9月11日 0z頃から始まっており、9月10日 18zのX級flareに対応するものは9月12日 15z頃から現れているように見える。
48時間で地球に到達するということは、太陽・地球間距離は約1億5千万kmらしいので、秒速868km/sという速さでplasmaが飛んで来ている事になる。これでも光速の350分の1程度の速さらしい。(「光」は太陽から地球に到達するのに8分20秒かかっている。)

つまりWAEDC SSB Contest前の木~金曜日に、磁気嵐の「絨毯爆撃」を受けていたわけである。事前に宇宙天気をcheckしていなかった筆者は、9月13日の04z頃に仮眠から醒めて無線機のswitchを入れて初めて、このただならぬ事態に気付いた。

Contest開始後、つまり9月13日 00z以降は数値的にはK≦4となっていたが、実際にはその直前のK=7の状況がかなり残っていて、05z頃でも全く何も聞こえず、06z前になってようやくUA9が聞こえ出し、欧州局をlog inしたのは下記のように20mでは0624z、15mでは0647zになってからであった。
QSO: 14275 PH 2014-09-13 0624 JG1VGX        59  0001   DR1D          59  0315
QSO: 14249 PH 2014-09-13 0625 JG1VGX        59  0002   UA7K          59  0185
QSO: 14180 PH 2014-09-13 0627 JG1VGX        59  0003   PI4DX         59  0012
QSO: 14214 PH 2014-09-13 0628 JG1VGX        59  0004   DF0HQ         59  0265
QSO: 14245 PH 2014-09-13 0632 JG1VGX        59  0005   SK3W          59  0062
QSO: 21253 PH 2014-09-13 0647 JG1VGX        59  0006   IK0PHY        59  0017
QSO: 21231 PH 2014-09-13 0701 JG1VGX        59  0007   HG7T          59  0267
QSO: 21237 PH 2014-09-13 0702 JG1VGX        59  0008   LZ9W          59  0306

........
Conditionが良ければJAでは03z前から強力な欧州局は聞こえるので、こんな事は本当に初めてだった。

Contest中の状況

1日目は結局15mは20局程度しか出来なかったが、その分皆20mに降りてきていたようで、このようなconditionにもかかわらず深夜の20mは比較的好調で200局程度log inする事が出来た。40mは時間も短く20局程度であったが、結局15~40mで合計280局程度で1日目を終えた。

2日目、日曜日の午後からは普段通りに近いconditionで15m(とわずかだが10mを)楽しむ事が出来た。ぐんぐん局数を積み上げる事が出来、1日目の分を挽回すべく飛ばしに飛ばしたが、JSTで日付が変わってからの20m、40mで思うように局数が伸ばせず、残念ながら1000Qには到達出来なかった。

太陽flareは9月11日以降は大きな物は発生せず、2日目はK=1~0と非常に安定していたと言える。9月14日 03z頃に再びM級flareが発生していたが、これはもちろんcontest終了迄には地球に到達しなかったので問題は無かった。

太陽活動は次の様に比較的活発であったので、地磁気さえ落ち着いていれば良好なconditionだったと思う。
9/13 SFI=145, SSN=165, A=12
9/14 SFI=139, SSN=120, A=2
なお、75mは現在antennaが無く、運用しなかった。

結果

初日は、「もうこれは200局もいかないのではないか?」とさえ思っていたが、例年には明らかに劣るものの、2日目の追い上げで、十分に楽しめた内容となった。
                    WAE DX Contest, SSB

Call: JG1VGX
Operator(s): JG1VGX
Station: JG1ZUY

Class: Single Op HP
QTH: Chiba
Operating Time (hrs): 28.1
Radios: SO2R

Summary:
 Band  QSOs  QTCs  Mults
-------------------------
   75:    0     0    0x4
   40:   59    48   18x3
   20:  431   383   39x2
   15:  440   435   38x2
   10:    5    20    4x2
-------------------------
Total:  935   886    216  Total Score = 392,688
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