PTT lineで制御するrelayを使った既製品のT/R switchもある(例:ELAD SwitchBox、WX0B QSK-Master、MFJ-1708、MFJ-1707)が、高価だったり入手がやや難しい。
もっと単純な製品でDEO Receiver Guard 2000というのがある。受信機の前に入れると、一定以上のRF入力をcutしてくれる代物だ。PTTによる制御は要らないから、contest stationsなどmulti TX環境での受信機保護に向いている。
調べたところ先のUniversal Radio (US)でしか取り扱いが無いようだが、北米以外への発送は行なっていないらしく入手できない。が幸運にもK8ND(PJ2T)のページに本品の写真や回路図が公開されていた。QS1RのFAQでも受信機過入力保護として同様の回路が言及されているが、全く同じものである。
動作原理としては、逆方向接続された1N4148の順方向電圧(約0.7V ≒ S9+83dB)以上のRF信号をclipするという単純なものである。6.3V, 150mAの豆電球はfuseとして使っている。
DEOではReceiver Guardという商品名だが、動作原理からはRF clipper、RF limiterと言った方が分かりやすいだろうか?
試作してみた。
ご覧のように非常に単純な構造だ。部品表は以下の通り。部品代合計は607円。
部品 | 規格・型番等 | 単価(円) | 個数 | 入手先 | 備考 |
ユニバーサル基板 | 72x48mm | 60 | 1 | 秋月 | P-00517 |
BNCジャック DIP化キット | 200 | 2 | 秋月 | K-05362 | |
豆電球 | 6.3V 150mA | 73 | 1 | マルツ | パイロ電子 G11E106.3V |
電球ソケット | E10形ベース付 | 52 | 1 | マルツ | パイロ電子 |
汎用スイッチングダイオード | 1N4148 | 100(50本) | 2 | 秋月 | 他で代用しないほうが良い |
セラミックコンデンサ | 1uF 50V | 100(10本) | 1 | 秋月 | P-03093 |
セラミックコンデンサ | 0.1uF 50V | 100(10本) | 1 | 秋月 | P-02211 |
コンデンサは容量比が約10:1なら0.1uFと0.01uFのpairにしても良いそうです。
もちろん本当はshieldされたcaseに入れるべきですが、とりあえず良好なclipping動作を確認しました。豆電球が光るほどの強電界下での実験はまだしていません。
(追記 2012.1.30)1kW出力antennaから約10mの至近の受信antennaに使ってみましたが、過入力時も豆電球は光りません。豆電球が光るとしたら相当な過入力ですね。Clip動作は良好で、SDRの前段に安心して使えました。
福田さん、ご無沙汰してます。QS1Rの保護回路の記事、大変参考になりました。今日、東大本郷出張の帰りに秋葉原まで歩いて、秋月とマルツに行って、基板とBNC以外はリストそのままの部品買って来ました。
返信削除北川先生、お久しぶりです。出張ご苦労様でした。やっぱこれないと内部のクリッパだけでは不安です。ちゃんとしたケースに入れて作ると更にfbですね。
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