2012年9月10日月曜日

WAE SSB @JG1ZUY


好天に恵まれたWAEDCの第二戦、SSB部門。
今年はLow Powerで参加することにしたため、CW部門と比べて飛ばないことは覚悟はしていたが、まさかここまで苦戦するとは思わなかった。

<1日目>(以下時刻は原則JST)

「お山のシャック」でのcontestは小旅行に行くようなものである。金曜の夜は早めに帰宅したが、忘れ物が無いようにと入念に持ち物を確認したりPCのsetupをしていると、結局緊張してしまって眠気が全く襲って来ない。

3:40 現地に着いてから寝ることにし、徹夜のまま未明に東京の自宅を出発した。途中コンビニで2日分の食料(弁当8個!)を購入する。

5:30 現着。開始後の9~13時位はどちらにしてもoff timeに充てるつもりだが、まず寝る前にsetupを終わらせておく事にする。また明け方から9時までのconditionを知ることはoff timeの設定や最終日の朝のcondition予測にも重要なので、準備をしながらantennasを真っ先に繋ぎbandsをwatchする。

40mは5:30には信号がかなり弱くなっていたが、20mは信号の浮き沈みはあったが6~8時にかけてもEAなど奥の方まで強力に入感している事を確認。(8月のCWでもGMが7時を過ぎても強力に入感していた。)

SetupではCWよりもSSBの方が音声系統が絡む分、回り込み対策が重要だ。いつも使っているshackではなくてcontestの度毎に機材を持ち込んでsettingするため、問題があるとcontest直前にその場でtroubleshootingしなくてはならない。自宅では問題が無かったのに現地では問題が起き、原因が分からず途方に暮れる事もある。忘れ物をしないように準備の時に注意を払うのも同じ理由である。

今回はLow Powerなのにリグコン(USB-COM converter)を繋ぐとmic音声やPTTへの回り込みが生じて難儀した。ここでは細かく解説しないが、RIG本体のある機能をOFFしたところ回り込みの問題はあっさり解決できた。最近のRIGは多機能になったが、いろいろと電気的にdirtyな環境でも安定動作するようには設計上の十分な対策が取られていないのかもしれない。Makerさんに言ってあげたい所である。

毎日7:00にNOAAの宇宙天気予報(先3日間)が出るのだが、確認したところ嬉しいことにここ2日間は地磁気の状態はほぼ静穏の見通しとのことであった。

8:20 さっきまで20mで強力に聞こえていたEA局もだいぶ弱くなった。大体朝の状況は把握できたしsetupもほぼ完了したので、ここでようやく寝ることにした。

13:00 覚醒する。SFI 134、SSN 110、K 2とのこと。13:30頃になると20mでロシア・東欧のbig gunsが弱く聞こえ出し、もう交信を始めているJA局もいる。しかしどのみち後でQSO出来るような局しか聞こえていないので、もう少し寝ていることにした。

WAEDCの良い所はcontest開始直後を休憩時間にまず充てることが出来るため、slow startが可能なこと。Bandsをwatchしながら何時頃から開始にするかを見極める。できれば後に可能性を残すため、最初の方でoff timeをなるべく長く取っておきたい。

14:00 RU1A等EUも聞こえているが、まだまだ弱い。UA9sは結構強くなってきたがまだ待ちだ。もうちょい寝る。15mは開かず20mしか開いていない。

15:00 まだ状況は変わらない。うとうとしながら待つ。15mと10mは完全に死んでる。20mの信号もむしろやや弱くなったようにも感じる。

15:30 20mでDLが弱いが聞こえ始めた。今日は15mが全く開かない。20mも決して強力ではない。Conditionは良くないようだ。

15:47 と思ったらようやく15mが開き、big gunsが強力に入感してきた。ここでいよいよ始めるtimingと判断、15mでのUA4MとのQSOでcontestを開始した。(6時間半の休憩をここまでで確保できたので、後は5時間半どこかで取れば良い。)

ところがLow Powerのせいか呼んでもなかなか応答してもらえない。ましてやCQなんて時間の無駄であることを確認。いきなり苦しむ。開始後1時間のrateはたった16局(全て15m)。実はこれでも後から考えると良い方なのだが。

17:00 欧州がより広範に開け始める。しかしCQを出しても全く呼ばれず、全てS&Pである。それも一部のbig guns以外は容易に応答してもらえない。

17:30 15m bandが逆に枯れ始めた。本格的に開いてから1時間半くらいではや中枯れか。

18:00 本格的に中枯れてきた。同時にJAは日没のため暗くなる。

19:50 あまりに生産性が悪いためか、気が付くと日没後に1時間半ほど転寝をしてしまった。だが幸いなことに15mはまだ枯れた状況が続いていた。20mが少しだけ聞こえ始めている。10mは今日は全く開かなかった。

20:45 いやあconditionが悪い。15mも20mもUA9やUNまでで、EUは何も聞こえないじゃないか。18~21時の間は実はrateは1局/hr位だった。

21:00 15mが復活してきたのかDP4Xが強力に聞こえ、QTCも送れた。

22:00 夕方よりは大分マシになってきて15mと20mを行ったり来たりしてS&Pで1局1局積み上げていく。

22:30 EU局のantennasが北米を向いているようで、呼んでもなかなか取ってもらえない。CQを出しても全く応答はない。「If you are not CQing, you are losing.」という言葉があるが、そんなのでは無い。全く逆である。「If you are not SPing, you are losing.」つまりCQを出してても呼ばれないから全くの時間のムダである。S&Pに専念する。Low PowerではCQよりもS&Pの方が生産性が高いことがしばしばだ。

ところが、「JG1VGX」とcallしているのに何度言っても「G1VGX」と聞き違えられて、「Only outside Europe please!」と交信を断られたのにはさすがに参った。

ここまで8月のCW部門とは大違いの暇さ加減である。CWより局数が減るのは覚悟はしていたものの、こんなにひどいとは思わなかった。

23:45 20mでCQを出していたら、初めてDP6Aに呼ばれた。弱かったがQTCも要求されたので問題なく10個送れた。

0:10 20mは大分開いてきているようだ。広範に聞こえるし、long pathに向けても信号が強力だ。但し実際は全部short pathで交信したが。

1:00 さすがの20mもやり尽くした状況になってきた。少し信号が弱くなる。

1:50 40mで初めてURが聞こえ始めたので交信する。

2:15 20mの方は大分弱くなった。

2:30 20mは枯れた感じ。40mがmain bandになる。

2:50 20mがほぼ完全に死んだ状況。

3:00 太陽でM1.1 classの中規模flareが発生したと速報が入ったが、地磁気に影響が出る頃にはcontestは終わっているだろうから気にする必要はないと考えた。

3:40 欧州の20m antennasは一斉にW方面を向いているようで、呼んでも全然応答が無い。

4:20 40mでCQを出していたらUA4Mがclusterにあげてくれ、お陰で数局に呼ばれた。

4:30 あまりにQSO出来ないので、2:00頃から眠くてたまらない。ついうとうとしてしまう。軽く伸びをして眠気を振り払い、無線機にかじりつく。

5:00 夜明けのため、外がかなり明るくなってきた。

5:45 効率は悪いが40mと20mを行ったり来たりしてS&Pを続ける。

6:00 40mは国内局が増え始めるとともにDXの信号が弱まり出す。

6:20 20mのDX信号も弱くなってきた。1日目の終わりを実感する。

6:40 と思ったら20mのLX7Iは強力で、QTCも送れた。しかしここでもう他の局とは交信できないと考え、集中力も限界に達していたため、皮肉にもconditionの悪さに助けられた形で1日目を終了とし、そのまま眠りに落ちた。

<2日目>

昨夜JG1ILFとJM1LPNからメールが来て、NH8S(Swains Island)のペディションを落としたいので本日昼間にshackに来るとのこと。こちらはどのみち休憩時間なので全く問題なく大歓迎だ。

11:00 ILFとLPNが到着。新鮮な野菜サラダとコーヒー飲料の差し入れを持って来てくれた。野菜サラダはコンビニのだが結構美味かった(Tnx LPN/ILF)。肉とご飯主体の弁当ばっかり食べていたからだ。その後二人はあっと言う間にNH8Sとの交信を済ませて帰っていった。

12:20 この時点で2回目のoff timeが5時間半以上取れたので合計12時間となり、この後は何時でも運用して良い状態になる。

13:20 しかしこの時間になってもまだ20m、15m、10mいずれも全く欧州が開く気配がない。

13:50 ようやくRU1AがRS 53位で聞こえるようになった為、溜まっていたQTCを送ろうと呼んでみたが、こちらのcallもまともに取れない感じだったので、まだ時間尚早と判断し交信を諦める。

15:25 気付いたら2時間近くまた転寝をしてしまった。だが今回はconditionがあまりに悪いため、幸いな事に転寝のdamageが少ない。15mでOE3K等強い局を呼び周りQTCを送りながら2日目の運用を開始した。

16:00 しかし30分程で呼べる局は呼び尽くしてしまう。15m bandは開いているのだがCQを出しても応答は無い。CR3L(Madeira Is.)まで強力に入感している。CR3LはAFだから呼べないのである。

昨日も今日もCQを出して呼ばれた場合でも、big gunsが見付けて呼んできてくれるだけであった。相手はどのみちS&PでもQSO出来る局なので、これではあまりCQを出す意味が無い。先程も書いたように「If you are not SPing, you are losing.」だ。

この時間帯は15mは欧州のantennasが一番JAに向いている可能性が高いと思えるのに、それでもCQを出しても呼ばれない。この程度のconditionなら多少寝てしまっても影響は殆ど無さそうだ。

16:20 15m CQでOE6XUGに呼ばれた。その後4局位にパラパラと呼ばれて少しmultiも増えた。偶に「Strong signal!」と言われたのだが本当なのか?MIC COMPをかけていたので聴感上強いように聞こえただけで、こちらの信号はせいぜいRS 53程度ではなかったのかなと思う。「強い」と言われて呼び回りをしても全然取ってもらえないことに変わりはなかった。

簡易SO2Rのsetupをしたので、15mでCQを出すごとに10mの状況をこまめにcheckしていたが、UA9が聞こえていたものの今日もEUは全く入感しなかった。HSやVR2、DUあたりがEUと交信している様子が窺えたが、JAの緯度ではこのconditionでは難しいようだ。

16:34 100 QSOsをようやく達成した。この時点でCQ:S&P比は13:87であった。

17:00 15m bandは開いているが、spotされているような局とはやり尽くしてしまった。10mは依然開く気配が無い。

17:35 Clusterを見ると10mでUA9がZone16のUA局をspotしているが、UA9からでも応答が無いという。これではJAからEUが出来る筈もない。もう今回は10mは全く見込みが無いものと判断し、15mに専念することにする。

17:45 15m CQでパラパラと呼ばれる。Rateにすれば10/hr程度だが、今回にしてはようやくまともなrunningが出来るようになってきた。ようやく今回contestらしきものをしている気分になってきた。やっとantennasを極東方面に向けてくれたのかもしれない。寂しいrateだが、今の時間帯が2日間を通して一番呼ばれる時間帯かな、等と考える。

18:00 日没。外が暗くなる。

18:15 15mの信号が弱くなり始めた。中枯れだ。

18:20 20mをチェックしてみたが、BY等近アジアのみでEU方面はまだ全く聞こえない。15mは昨日よりは良かったのだが、それにしてもかなり期待外れなcontestには変わりない。

18:30 15mはかなり枯れてしまったが、まだ20mが開く時間帯ではない。やる事が無くなってきた。しかしHigh Powerで設備の充実したJA局はまだ欧州と交信しているのには驚いた。

18:35 と思ったら15mでED1R(新multi)をS&Pで落とせた。不思議なconditionだ。

18:45 やはり15mは本格的に中枯れしてきた。

19:00 20mはまだBYやUA9/0しか聞こえない。

19:10 15mでCQを出していたらLA(新multi)に呼ばれて少し驚いた。

19:30 聞こえなくなったり聞こえたり浮沈のある不思議なconditionだが、15mは完全に閉じることはない。合間に食事をする。

19:45 CR6K(新multi)をS&Pで落とす。

19:55 CQを出していたら、これまた出来ていなかったGから呼ばれた。

20:50 CQを2局にspotしてもらったお陰で突然のpileになる。以後の30分間で40局程度に呼ばれ続けた。今回のcontest中のhighlightになった。TK, OZ, E7などのmultisが増えた。

Spotが上がると飛びつくように呼んでくるのは他のJAsも体験していたようだった。

やはり001とか若いナンバーを送ってくるcasual参加局にもたくさん呼ばれるようにならないと、bandが開いたとは言えないことを実感した。

21:50 Spotsの効果が切れ、CQに対する応答が激減したため、S&Pに戻る。

22:00 20mをcheckするが欧州はまだ開いていない。15mしかないので専念する。

22:30 15mでも交信相手が居なくなってしまった。

22:45 いよいよ15mは本格的に閉じてきたようだ。20mはまだあまり開いていないが、何とかUR 1局と交信できた。これからは20mの時間帯になるだろう。

23:00 15mはEUが北米にantennasを向けたため聞こえなくなったようだ。まだ20mはUA9までしか聞こえていない。

23:10 20mのUA9の信号はかなり強くなり、欧州のbig gunsも弱いが聞こえ始める。

23:30 20mは少しずつ開いてきているが、まだこちらの弱い信号では相手になる局が少ない。太陽黒点は先週のAll Asian Phoneをpeakに下降を始めていたがSSN 70まで下がった。

0:00 この時点で丁度200Qsになった。これまでの経緯を考えると最終的には行けても250Qs位にとどまるだろうと予測。

0:30 75mはnoiseが強い。15mではまだOM2VLが驚くほど強力に聞こえているが、他の局は非常に弱い。

0:40 どのbandsでも全く交信相手が居ない状況の為、食事を摂る。40mでは昨日交信済のOH8Xが非常に強力に入感しているが、他に欧州の局は聞こえない。

1:00 15mは完全に終了。20mに専念するしかない。

1:20 20mも中枯れか静かになり、40mも開いておらず、75mはアンテナが弱く交信は論外であり、やる事が無くなる。

3:15 迂闊にもまた2時間近く眠りに堕ちてしまった。1時台は確かにやる事が無かったが、ちょっと寝過ぎてしまったことを反省する。かなりopenを逃してしまったのではないか?

起きて始めてみると20mが広汎に開いているのでしばしS&Pに専念する。しかししばらくするとやり尽くしてしまい、転寝によるlossはそれほど大きくなかったであろうと自分を納得させた。

40mは相変わらずOH8Xしかまだ聞こえない。

3:45 20mは欧州が北米にantennasを向けてrunningしているのが聞こえる。もうJAにantennasは向いていないのだからこの時間は20mは終了したと考えざるを得ない。

3:55 20mではV55V(Namibia)が強力に入感している。EU外同士なのでcontest QSOは勿論出来ない。

4:35 20mでは欧州のantennasが北米を向いたまま。40mではまだ別格に強いOH8XとDL6FBL(@DR1A)しか聞こえておらず、またやる事が無くなった。

4:50 新multiのUA2Kを繰り返し呼んでみたがantennasが北米を向いているらしく全く応答が無かったのだが、こちらのantennaを30度位やや南に振ってみたところ応答があった。Antennasが正対していない関係では最短方向ではなく少しbeamをずらして呼ぶと取ってもらえる事があるようだ。

5:00 夜が明けてきた。20mはまだ中枯れているままだ。

5:10 40mでDP4Xに少数ながらQTCを送ることに成功する。40mのconditionが上がってきた証拠だ。しばし40mのS&Pに専念する。

5:45 早くも40mはJA国内局が増え始め、DX局は埋もれるようになってきた。40mはもう終了かと一旦は諦めた。しかし20mもまだ枯れた状態のままだ。

6:00 この後6:20頃まで40mで欧州局が再び強まる。RU1Aに最後のQTCを送り、強力だが未交信だった4O3Aと40mで交信する。

6:30 20mでも強力だった4O3Aを繰り返し呼ぶが全く応答してもらえない。(他の設備の良さそうなJA局は交信できていた。)20m、40mとも交信相手が居なくなったため、ここでcontestは終了だろうと考えて、早めの撤収作業に入った。

8:15 20mで4O3Aがまだ強力に聞こえていたので呼んでみたところ不思議な事に一発応答があった。20mはどうやらJST 7~8時頃がbestなようだ。これをもってcontest終了とした。

                    WAE DX Contest, SSB

Call: JG1VGX
Operator(s): JG1VGX
Station: JG1ZUY

Class: Single Op LP
QTH: Chiba
Operating Time (hrs): 36

Summary:
 Band  QSOs  QTCs  Mults
-------------------------
   80:    0           0
   40:   23          13
   20:   67          23
   15:  133          32
   10:    0           0
-------------------------
Total:  223   221    68  Total Score = 66,156


計223局の内、CQが74局、S&Pが149局だった。約1:2の割合である。終わってみると意外とCQへの応答も多かった。

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<他に気が付いた事>

・QTCの送り残しを避ける為、今回は10個にこだわらず少数でもこまめにQTCを送るようにした。Conditionは悪かったが最終日の朝の40/20mで強力な局がいたため、今回は送り残しは最小限に出来た。欧州局が北米向けにrunしている時は、QTCを押し付けようとしても応じてもらえない。それ以外では欧州局はscore向上のため頻繁にQTCを要求してくる。今回は頼まれてもこちらのQTCが無くなってしまって断ることの方が断然多かった。
・規約では14300~14350kHzでの交信は禁止されていたが、少なからず交信が行われていた。規約にも小さく書かれているだけなので、知らない局が多いものと思われる。運用が制限されている分、空き周波数を探すと14300以下が一杯でも上は空いているので知らない局はここでCQを出すことになる。罰則(減点)があるのか不明だし、あまりに交信している局が多いので、当局もS&P時は14300kHz以上でも交信を行った。罰則を与えるなら主催者はもう少し告知をしっかりするべきだと思う。

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